「ChatGPTで自社のサービス分野について質問してみたら、競合は名前が挙がるのに、うちの会社は一度も出てこなかった」。2026年に入り、このようなご相談を経営者・Web担当者の方から受ける機会が急増しています。Google検索で上位表示できていても、AI検索ではまったく引用されないケースは珍しくありません。本記事では、ChatGPT検索をはじめとするAI検索が「どの情報をもとに企業を紹介しているのか」を公開資料と調査データから整理し、中小企業が自社情報を引用されやすい状態に整えるための具体的な手順とチェックリストをご紹介します。
ChatGPT検索の利用規模と、企業にとっての意味
まず押さえておきたいのは、ChatGPTが「一部の先進的なユーザーのツール」ではなくなっているという事実です。OpenAIは2026年2月27日、ChatGPTの週間アクティブユーザー数が9億人に達したと発表しました(出典:Search Engine Land, 2026)。有料の個人契約者は5,000万人超、法人の有料ユーザーも900万人以上とされています。
利用目的も変化しています。米BrightLocalが2026年3月に公開した消費者調査(米国成人1,002名)では、地域の店舗・事業者を探す際にAIツールを使う人が45%にのぼり、前年の6%から大きく伸びました。利用されるAIツールの内訳はChatGPTが31%で首位、GoogleのAIモードが23%で続きます(出典:BrightLocal, 2026)。米国の数字ではありますが、「業者選び・比較検討の入口がAIに移りつつある」という流れは日本でも同様に進んでいます。
つまり、AI検索で自社が出てこないということは、見込み客の比較検討リストに最初から入れていない状態を意味します。この課題に対応する取り組みは、AIO(AI Optimization)、GEO(Generative Engine Optimization)、LLMO(Large Language Model Optimization)などと呼ばれます。呼び方は異なりますが、いずれも「AIが回答を生成するときに、自社の情報を正しく参照・引用してもらうための最適化」を指す、ほぼ同義の言葉です。本記事ではこれらを総称してAIO/GEO/LLMOと表記します。
ChatGPT検索はどこから情報を取ってくるのか
対策を考える前に、ChatGPTが企業情報をどのように集めているかを理解しておきましょう。OpenAIは2024年10月31日に「ChatGPT search」を正式に発表し、Web上の最新情報を参照しながら回答する機能を提供しています(出典:OpenAI, 2024)。
OpenAIの3種類のクローラー
OpenAIの開発者向けドキュメントでは、Webサイトを訪れるボットが用途ごとに分けられています(出典:OpenAI Platform Docs, 2026)。
| クローラー名 | 役割 | 企業サイトへの影響 |
|---|---|---|
| OAI-SearchBot | ChatGPTの検索機能にサイトを表示するためのクロール。モデルの学習には使われない | ブロックするとChatGPT検索の結果に出なくなる |
| ChatGPT-User | ユーザーの質問に応じてリアルタイムでページを閲覧 | 回答生成時にページ内容が直接参照される |
| GPTBot | 基盤モデルの学習用データ収集 | 学習への利用のみを拒否したい場合はこれだけをブロック |
ここで重要なのは、「AIに学習されたくない」という理由でrobots.txtですべてのOpenAI系ボットを拒否してしまうと、ChatGPT検索での表示機会まで失うという点です。OpenAIは、OAI-SearchBotは許可しつつGPTBotだけを拒否する、といった個別の設定が可能だと明記しています。まずは自社サイトのrobots.txtを確認し、意図せずOAI-SearchBotをブロックしていないかを点検してください。
Google検索の順位とAI引用の関係
「Googleで上位なら、AIでも引用されるはず」と考えがちですが、ChatGPTに関しては必ずしもそうではありません。Semrushが2025年7月に公開した調査では、ChatGPTが引用したページの約90%が、従来のGoogle検索では21位以下に位置していたと報告されています(出典:Semrush, 2025)。一方、GoogleのAIによる概要(AI Overviews)については、Ahrefsが2025年7月に190万件の引用を分析し、引用元の76.1%がGoogle検索の上位10位以内だったとしています(出典:Ahrefs, 2025)。
この2つのデータから分かるのは、「Googleの順位」と「ChatGPTの引用」は別のルールで動いているということです。ChatGPTは質問を複数の関連検索に分解して情報を集めるため、特定の問いに対して端的で抜き出しやすい答えを持つページであれば、検索順位が低くても引用されるチャンスがあります。逆に言えば、総合的なSEOで強いサイトでも、AIが抜き出せる形で情報が整理されていなければ素通りされてしまいます。
自社が出てこない5つの典型的な原因
グッドラフが企業サイトの診断を行うなかで、AI検索に引用されない企業には共通するパターンがあります。
原因1:会社・サービスの基本情報がWeb上で断片的・不一致
社名の表記(株式会社の前後、英語表記)、所在地、電話番号、サービス名称などが、自社サイト・Googleビジネスプロフィール・SNS・ポータルサイトでバラバラになっているケースです。AIは複数の情報源を照合して確信度を高めるため、情報が食い違うと「信頼できる情報」として採用されにくくなります。
原因2:「何をしている会社か」が文章として明記されていない
トップページがキャッチコピーと画像だけで構成され、「どの地域で、誰に、何を提供しているのか」を説明する文章がないサイトは少なくありません。AIはテキストを読んで理解するため、画像の中の文字やデザインで表現された情報は読み取れないことがあります。
原因3:質問に対する答えが1か所にまとまっていない
料金、対応エリア、納期、実績などの情報が複数ページに散在し、しかも曖昧な表現になっていると、AIは「この会社の料金は○○円から」と断定的に引用できません。
原因4:技術的にクロールできない
robots.txtでのブロック、JavaScriptでしか描画されない本文、ログインが必要なページなど、ボットが本文を読み取れない構造になっている場合です。Googleも「ページがインデックスされ、スニペット表示の対象になっていること」をAI機能に表示される条件として挙げています(出典:Google Search Central, 2025)。
原因5:第三者からの言及がほとんどない
自社サイト以外のどこにも会社名やサービス名が登場しない状態では、AIはその企業を「業界で認知されている選択肢」として扱いません。業界団体の会員一覧、取引先の導入事例、地域メディア、プレスリリースなど、外部での言及の有無が影響します。
AI検索に引用される企業情報の整え方(実践手順)
Googleは2025年5月の公式ブログで、AI検索時代に向けた8つの推奨事項を公開しました。その内容は「人のための独自で価値ある情報」「優れたページ体験」「クロール可能であること」「構造化データと表示内容の一致」「テキスト以外(画像・動画・ビジネスプロフィール)の充実」などで、従来のSEOの基本と大きく変わりません(出典:Google Search Central Blog, 2025)。これを中小企業向けに具体化すると、次の手順になります。
手順1:会社概要を「AIが読める文章」で書き直す
会社概要ページに、少なくとも次の要素を自然な文章で記載してください。正式社名と略称、所在地(複数拠点があればすべて)、設立年、事業内容の一文説明、主な対象顧客、対応エリア、代表者名、連絡先。箇条書きの表だけでなく、「株式会社○○は、神戸市中央区に本社を置き、兵庫・大阪を中心に全国の中小企業向けに○○を提供する会社です」のように、1文で全体像が伝わる説明文を置くことが重要です。
手順2:サービスごとに「質問と答え」を1ページに集約する
見込み客がAIに尋ねそうな質問を書き出し、それぞれに明確に答えるページを用意します。「料金はいくらか」「どのくらいの期間がかかるか」「どんな会社に向いているか」「他社との違いは何か」といった問いに、曖昧さを避けて答えます。見出し(h2・h3)に質問文をそのまま使い、直後の段落で結論を先に述べる構成が、AIにとって抜き出しやすい形です。
手順3:外部プロフィールと表記を統一する
Googleビジネスプロフィール、各SNSのプロフィール、業界ポータル、求人サイトなど、自社情報が掲載されているすべての場所で、社名・住所・電話番号・URL・事業説明の表記を揃えます。古い住所や廃止したサービスが残っていないかも確認してください。
手順4:構造化データ(Organization・LocalBusiness・FAQ)を実装する
Googleは「AI機能に表示されるために特別な構造化データは不要」としていますが、同時に「構造化データは表示されている内容と一致していること」を求めています(出典:Google Search Central, 2025)。Organizationスキーマで社名・ロゴ・所在地・SNSアカウントを、LocalBusinessスキーマで営業時間や対応エリアを、FAQPageスキーマでよくある質問を記述すると、ページ本文の理解を補助し、各プラットフォームでの情報の一貫性を保ちやすくなります。
手順5:技術面を点検する
- robots.txtでOAI-SearchBot・Googlebotをブロックしていないか
- 本文がHTMLとして出力されているか(JavaScript描画のみになっていないか)
- noindex・nosnippetタグが主要ページに付いていないか
- モバイル表示と表示速度に問題がないか
- XMLサイトマップが最新か、サーチコンソールでインデックス状況を確認できるか
手順6:第三者からの言及を増やす
プレスリリース配信、業界団体への加盟と会員一覧への掲載、取引先サイトでの導入事例掲載、地域の商工会議所や自治体の事業者紹介ページへの登録など、信頼性のある外部サイトに自社名が載る機会を計画的に作ります。AIは「複数の独立した情報源が同じことを言っている」状態を重視します。
AI検索対応チェックリスト
以下の項目を、自社サイトと外部プロフィールについて確認してみてください。
- ChatGPTやGoogleのAIモードで「地域名+業種」「サービス名+おすすめ」と質問し、自社が出るか・どのサイトが引用されているかを記録した
- robots.txtでOAI-SearchBotを拒否していない
- 会社概要に「誰に・何を・どこで」が1文で分かる説明文がある
- 各サービスページに料金・期間・対象顧客が明記されている
- よくある質問ページがあり、質問文が見出しになっている
- 社名・住所・電話番号・URLの表記が全媒体で一致している
- Organization・LocalBusiness・FAQPageの構造化データを実装し、本文と内容が一致している
- 代表者や担当者のプロフィール(経歴・資格)がサイトに掲載されている
- 自社以外のサイトで社名が言及されているページが複数ある
- 公開日・更新日が記載され、情報が1年以内に更新されている
AI経由の訪問は少なくても価値が高い
「AI検索に対応しても、クリックは減るのではないか」という懸念もよく伺います。確かに、米Pew Research Centerが2025年7月に公表した調査(米国成人900名、2025年3月の検索6万8,879件を分析)では、AIによる要約が表示された検索では従来の検索結果リンクがクリックされた割合が8%にとどまり、要約が表示されなかった場合の15%と比べて半分近くでした(出典:Pew Research Center, 2025)。
一方で、Semrushの調査ではAI検索経由の訪問者は従来の自然検索の訪問者と比べて4.4倍の割合でコンバージョンに至るとされています(出典:Semrush, 2025)。Googleも、AIによる概要からのクリックは「より質が高く、サイトでの滞在時間が長い傾向がある」と述べています(出典:Google Search Central, 2025)。AIで比較検討を済ませたうえで訪問する人は、すでに「候補として選んだ」状態で来るため、問い合わせにつながりやすいのです。訪問数だけでなく、問い合わせ数・成約率で効果を測ることが大切です。
よくある質問
Q1. AIO/GEO/LLMOは、従来のSEOと別に予算を組む必要がありますか?
多くの場合、別物として切り分ける必要はありません。Googleは「AI機能に表示されるための追加要件や特別な最適化は不要」と明言しており、基本はSEOの延長です。ただし、「質問に端的に答える情報設計」「全媒体での表記統一」「外部での言及獲得」は、従来のキーワード順位重視のSEOでは後回しになりがちだった領域です。既存のSEO施策にこれらを組み込む形で進めるのが現実的です。
Q2. 効果が出るまでどのくらいかかりますか?
robots.txtの修正や会社概要の書き直しなど、技術・情報面の整備自体は数週間で完了します。ただし、AIが再クロールして回答に反映するまでの期間は公開されておらず、外部からの言及が増えて「認知された選択肢」として扱われるまでには数か月単位の取り組みが必要です。月に一度、同じ質問をAIに投げて結果の変化を記録することをおすすめします。
Q3. 自社でどこまでできますか?外注すべき範囲は?
会社概要やサービスページの文章見直し、よくある質問の作成、外部プロフィールの表記統一は、社内でも十分に取り組めます。一方、構造化データの実装、JavaScript描画の問題解消、クロール状況の診断などは専門知識が必要なため、Web制作会社やSEO会社に相談するのが確実です。グッドラフではSEO・AI検索対策サービスとして、現状診断から情報設計、実装まで一貫して支援しています。
参考資料・出典
- OpenAI: ChatGPT now has 900 million weekly active users(Search Engine Land, 2026)
- Introducing ChatGPT search(OpenAI, 2024)
- Overview of OpenAI Crawlers(OpenAI Platform Docs, 2026)
- Local Consumer Review Survey 2026: Half of consumers are asking AI for business recommendations(BrightLocal, 2026)
- How to optimize for AI search results(Semrush, 2025)
- Do Search Rankings Drive AI Citations?(Ahrefs, 2025)
- AI features and your website(Google Search Central, 2025)
- Top ways to ensure your content performs well in Google’s AI experiences on Search(Google Search Central Blog, 2025)
- Google users are less likely to click on links when an AI summary appears in the results(Pew Research Center, 2025)
まとめ
ChatGPT検索で自社が出てこない原因は、多くの場合「AIが読み取れる形で、一貫した企業情報がWeb上に存在していない」ことにあります。ChatGPTの引用はGoogleの検索順位と必ずしも連動しないため、順位が高い企業でも油断はできず、逆に順位で苦戦している企業にもチャンスがあります。まずはAIに自社について質問して現状を把握し、会社概要の文章化、質問に答えるページの整備、全媒体での表記統一、クローラーの受け入れ設定、外部での言及獲得という順番で整えていきましょう。グッドラフは、地域名+サービス名での検索1位の実績を多数持つとともに、アメリカやオランダなど海外でのSEO・MEO支援も行っており、日本語・英語双方のAI検索を見据えた情報設計をご提案しています。
神戸・大阪・東京から全国のWeb集客を支援する株式会社グッドラフでは、無料のサイト診断を行っています。お問い合わせからお気軽にご相談ください。

