インターネットの普及によって、多くの企業が自社のホームページを保有するようになりました。
起業や開業のタイミングは、「会社としての公式な顔」となるホームページを用意する絶好の機会でもあります。
一方で、
- とりあえず無料サービスで作ったまま放置
- 名刺にURLは書いているのに、内容がスカスカ
- お金をかけたのに問い合わせがまったく来ない
といった“ホームページの落とし穴”にはまってしまうケースも少なくありません。
本記事では、起業・創業したばかりの方に向けて、
- 開業当初にホームページを持つメリット
- よくある失敗(落とし穴)
- 目的別の制作費用の目安
- 依頼する制作会社・専門家の選び方
- 商工会議所やエキスパートバンクの上手な活用方法
をわかりやすく解説します。
これからWeb活用をお考えの方は、ぜひ参考にしてみてください。
開業・起業の時に公式ホームページは必要?

事業を営んでいる多くの企業が公式ホームページを保有し、自社の会社紹介や提供している商品・サービスに関する情報を発信しています。 開業・起業時にはさまざまな手続きや準備に時間がかかるため、ホームページまで頭が回らないという方も多いでしょう。次章では、開業・起業・創業時にホームページが必要かどうかについて解説していきます。
開業・起業・創業時に、公式ホームページはあったほうがよい

結論からいうと、開業・起業・創業時にはホームページがあった方がいいといえるでしょう。その理由は主に次の2つが挙げられます。
ホームページは信用の一つになる
インターネット上でさまざまな情報が飛び交っており、中には誤った情報が発信されていることもあります。
その影響もあり、下記の図のようにユーザーは商品やサービスの利便性・価格に加え、提供している信憑性も重視するようになってきました。

(引用:図表I-1-6-25 商品やサービスを選ぶときに意識すること [CSV])

(引用:図表I-1-6-26 商品やサービスを選ぶときに意識すること(性別) [CSV])
そのため、企業がホームページを持っているかいないかでは、ユーザーに与える信用に大きく影響するのです。
借入れや企業間取引には必要
事業を営むうえで法人口座の開設や規模拡大・設備投資などの際に銀行から融資を受けることがあり、いずれも審査の通過が条件となります。
社会的信用度によって審査の可否に大きく影響するため、ホームページをもっていないがために審査が通らないというケースもあり得るのです。
また、企業間においてもお互いの信頼関係のもと取引が行われるため、ホームページの有無によって取引が成立しないというケースも少なくありません。
インターネット上にはさまざまな情報が飛び交っており、中には誤った情報や、信頼性の低い発信も多く存在します。
その影響もあり、消費者は商品やサービスを選ぶときに、価格だけでなく提供している企業の「信頼性・安全性」を重視するようになっています。
公的な調査でも、「企業や商品・サービスの信頼性をどの程度重視するか」という項目で、多くの消費者が「重視する」と回答しています。
逆に言えば、ホームページすら存在しない企業は、それだけで候補から外される可能性があるということです。
- 会社名を検索しても、ホームページが出てこない
- 古い情報のまま放置されている
- 代表者・所在地・連絡先がよくわからない
こうした状態は、起業・開業したばかりのタイミングでは特に致命的です。
開業・起業時は、開業届や法人設立、銀行口座の開設、許認可の取得など、やるべきことが山のようにあり、「ホームページは後回しになりがち」です。しかし、「まだオープンしたばかり」だからこそ、ホームページの有無が信用や売上に直結するケースも多いのが現実です。
起業とホームページの落とし穴

「ホームページが重要なのはわかった。じゃあ、とりあえず何か作っておけばOKだよね?」
…と思いがちですが、ここに大きな落とし穴があります。
よくある3つの失敗パターン
- 無料サービスで作って満足し、その後更新しない
- “デザインだけ立派”で、問い合わせ導線や文章が弱い
- 制作会社に丸投げして、自社の強みが全く伝わらないサイトができあがる
起業直後はどうしても「お金をかけたくない」「とりあえずあればいい」という発想になりがちです。
しかし、その結果、
- 集客にまったくつながらない
- 信用にならない
- 将来的な資産として育たない
という“もったいないホームページ”になってしまうことも多いのです。
起業する際、ただ単にホームページを持っていればいいというわけではありません。その理由として次のような点が挙げられます。
無料サイト作成サービスはコスパは良いが資産サイトにはならない
ホームページを無料で作成できるツールやサービスが多くあり、費用をかけずにホームページが制作できるにこしたことはないでしょう。
しかし、無料のホームページでは資産にならないという欠点があります。
ホームページを作成する際にはURL内に「ドメイン」と呼ばれる部分があります。
※下記例で赤文字の部分がドメインです。
(ドメイン例:https://www.otameshi.com)
のように、サービス側のドメイン配下にぶら下がる形になることが多く、ドメインの所有権はあなたの会社ではなく、サービス提供会社側にあります。
将来、
- ホームページをリニューアルしたい
- 別のシステムに移行したい
- SEOを本格的に強化したい
と思ったときに、URLを引き継げない=積み上げた評価がリセットされてしまうリスクがあります。
サービス側の都合で仕様変更・終了の可能性
無料サービスは、提供会社のビジネス方針で、
- 広告が勝手に表示されるようになる
- 無料プランの機能が制限される
- 場合によってはサービス自体が終了する
というリスクもゼロではありません。
“会社の資産”として成長させにくい
ホームページは本来、記事や事例、ブログなどを積み上げていくことで
- 検索エンジンでの評価(SEO)
- 見込み客の信頼
- 社内のノウハウ蓄積
といった長期的な資産になります。
しかし、無料サービスは構造やカスタマイズ性に制限が多く、
本格的なSEO対策やマーケティング設計をしづらい場合が多いのが実情です。
「今は無料でいいけれど、将来きちんと集客したい」
という方ほど、最初から“資産になるサイト”かどうかを意識しておくことが重要です。
【目的別】Web制作の費用目安

Web制作業者は数多くあり、その費用やシステムは業者によって異なります。そのため、ホームページを制作する目的に応じて費用の目安が異なるので、それぞれご紹介していきましょう。
【無料〜10万円】「自分で作る・リーズナブルなところに発注する」
デザインや質にこだわらず「とにかくホームページがあればいい」という方は、無料または料のホームページ制作ソフトを使用するといいでしょう。
また、専門知識がある人に外注したい場合はフリーランスなどを利用することで、10万円前後で制作してくれることもあります。しかし、「制作費」は別に「ドメイン費」や「管理費」などが発生する可能性もあるので、事前に確認しておきましょう。
- とにかく名刺に書けるURLが欲しい
- 起業直後で予算をあまり割けない
- デザインやページ数にはこだわらない
という方は、無料〜10万円ゾーンが選択肢になります。
自分で作る場合
- 無料ホームページサービス(Wix、ペライチ、Googleサイトなど)
- 市販テンプレート+レンタルサーバー+WordPressで、時間をかけて自作
お金はほとんどかかりませんが、
- 自分で調べて、作って、調整して…と時間コストはかなり大きい
- デザインや構成が“なんとなくそれっぽい”レベルに収まりやすい
という点は理解しておきましょう。
フリーランスに依頼する場合
- 10万円前後で、シンプルな1〜3ページ程度
- テンプレートベースで最低限のデザイン・構成
注意点として、
- 「制作費」とは別に、「ドメイン費・サーバー費・保守費」がかかる場合がある
- 更新対応は別料金、というケースも多い
ので、事前に総額とランニングコストを確認しておきましょう。
【10万円〜30万円】ホームページを作成する場合
ホームページ制作業者に依頼をする際は最低でも10~30万円ほどは予算をみておくといいでしょう。20万円ほどの費用をかければホームページの管理システムで有名な「WordPress(ワードプレス)」を組み込んだホームページ制作が可能となります。
しかし、ページ数としては5ページほどが目安となるため、ある程度のクオリティのホームページであれば問題ないという方はこのくらいの費用を目安とするといいでしょう。
この価格帯でできることのイメージは、
- 会社概要・事業内容・お問い合わせなど5ページ前後
- スマホ対応のレスポンシブデザイン
- WordPressなどのCMS導入(簡単な更新は自分で可能)
「がっつり集客したい」というよりも、
- 信用のための公式サイト
- 採用・取引先・金融機関に見せる“会社の顔”
として整えておきたい方に向いているゾーンです。
【50万円〜100万円】ホームページを制作する場合
50万円以上の費用であれば、一部オリジナルデザインの対応が可能な業者が多く、独自のデザインを交えて制作したい際には適しています。さらに100万円近くの費用をかけることで10~15ページほどのページ数が可能であり、サイト内の情報量を充実させやすくなります。
「公式サイト+SEO対策」もしくは「ランディングページ&広告出稿」

公式サイトとは、企業のオフィシャルサイトとなるホームページのことであり、ランディングページとは、商品購入やサービスの申し込みに特化したページのことです。
公式サイトは5ページや10ページなど複数で構成するため「会社概要」「事業内容」「採用情報」など幅広い情報発信が可能となります。
ランディングページは特定の内容を1ページで縦長に打ち出す構成であり、公式サイトに比べるとSEOが弱く検索した際の上位表示が困難です。そのため、ランディングページは「SNS」や「リスティング」「チラシ」など、ほかの広告からユーザーを誘導し、購入や成約につなげる運営が主流となっています。
50万円以上の予算があれば、次のようなことが可能になってきます。
- オリジナルデザイン(テンプレにない世界観の表現)
- 10〜15ページ前後のページ構成
- ブログやお知らせ、事例紹介などのコンテンツ設計
- 写真撮影やコピーライティングまで含めたトータル制作
つまり、「ただあるだけのサイト」ではなく、「事業の成長エンジンになるサイト」を目指すことができる価格帯です。
- 将来的にSEOで集客したい
- 見込み客にしっかりとサービスの価値を伝えたい
- 採用やブランディングにも活用したい
という方は、この辺りの予算感を検討してもよいでしょう。
起業・創業時にWeb制作を依頼する際の業者選びのポイント

起業や創業時にはさまざまな方面に手間を取られるため、ホームページを自身で制作する時間がないという方も多いでしょう。そんなときは専門の業者にWeb制作を依頼する方が得策といえます。
しかし、どの業者に依頼してもいいというわけではなく、選ぶべきポイントが主に2つあるのでご紹介していきましょう。
担当者がしっかりと自社の商品やサービスを理解してくれるか
ホームページは企業ごとの独自性を出すために、強みや差別化のポイントなどを打ち出す必要があります。制作する際の担当者が企業の商品やサービスの内容を理解していなければ、理想のホームページ制作は難しく、費用を払っても満足のいかないサイトが完成してしまう可能性もあるのです。
そのため、担当者が自社の商品やサービスに関する知識や実績がある業者に依頼をするといいでしょう。
ホームページ以外の経営戦略や集客手段も知見があるか?
ホームページは制作するだけ集客や求人などの成果を出すことは困難です。むしろ制作後にどのような管理・運営をするかが重要となります。 また、あらゆる業界や分野で企業がホームページを作っているため、ホームページだけで理想とする成果を出すのは難しいといえるでしょう。そのため、ホームページだけでなく、そのほかの広告やマーケティングに関する知見があり、ホームページを最大限に活かせる方法を理解している業者に依頼することをおすすめします。
ホームページは、作って終わりではありません。
むしろ公開してからの運用・改善こそが本番です。
- SEO対策
- Web広告運用(リスティング、SNS広告など)
- MEO(Googleマップ対策)
- SNS運用
- メールマーケティング
など、集客の全体像を理解している業者かどうかも重要なポイントです。
「とりあえず作るだけ」の制作会社よりも、
- 集客戦略やマーケティングの提案ができる
- 数字を見ながら改善のアドバイスができる
パートナーを選ぶことで、起業後の数年間の成長スピードが大きく変わります。
まとめ

今回は起業や開業したての方に向けて、起業や開業と同時にホームページ制作をするメリットや注意点を踏まえ、どのような業者に依頼すべきかについて解説してきました。
ここまでで解説したように、ホームページは無料で制作することも可能ですが、成果を求めるのであれば専門の業者に依頼する方がいいといえるでしょう。 しかし、起業や開業時は何かと費用や手間がかかるため、なかなかホームページまで頭が回らないという方も多いでしょう。そんなときは、無料診断を通して企業ごとに適切なホームページ制作や、幅広いマーケティングスキル・実績を兼ね備えている「株式会社グッドラフ」にお気軽にご相談ください。

