「検索順位は落ちていないのに、サイトへの流入が減っている」。2024年8月に日本でも「AIによる概要(AI Overviews)」が始まって以降、Google Search Consoleを見ながらこう感じている担当者の方は少なくないはずです。検索結果の最上部にAIがまとめた回答が表示されるようになり、ユーザーがどのサイトもクリックせずに検索を終える「ゼロクリック」が増えています。本記事では、AIによる概要が表示されるとクリック率(CTR)が実際にどの程度変わるのかを、Pew Research Center・Ahrefs・Seer Interactiveなどの2025年以降の調査データで確認し、そのうえで中小企業が取るべきSEO対策の優先順位を整理します。「流入が減った原因の切り分け方」と「それでも成果を出すための打ち手」が分かる内容です。
AIによる概要(AI Overviews)とAIモードの基本
AIによる概要は、Google検索の結果ページ上部に生成AIがまとめた回答を表示する機能です。米国では2024年5月に一般公開され、日本では2024年8月15日から提供が始まりました(出典:INTERNET Watch, 2024)。さらに2025年9月8日には、質問を重ねながら調べられる対話型のAIモードが日本語を含む5言語に拡大しています(出典:Google, 2025)。
Googleの公式ドキュメントによると、どちらの機能も「クエリファンアウト」と呼ばれる手法で、1つの検索を複数の関連検索に分解し、それぞれの結果から情報を集めて回答と参照リンクを生成します。表示されるための追加の技術要件はなく、「インデックスされ、スニペット付きで検索結果に表示できるページ」であれば対象になります(出典:Google Search Central, 2025)。
なお、こうしたAI検索への対応はGEO(生成エンジン最適化)、AIO(AI最適化)、LLMO(大規模言語モデル最適化)など複数の呼び方がありますが、指している内容はほぼ同じです。本記事では「AI検索対策(GEO/AIO/LLMO)」と総称します。
データで見る:AIによる概要はクリック率をどう変えたか
Pew Research Center(2025年7月):クリック率は15%から8%に
米国の調査機関Pew Research Centerは、2025年3月の1か月間、米国成人900人の実際のブラウザ行動(68,879件のGoogle検索)を分析し、2025年7月に結果を公表しました。主な結果は次のとおりです(出典:Pew Research Center, 2025)。
| 指標 | AIによる概要あり | AIによる概要なし |
|---|---|---|
| 従来の検索結果リンクをクリックした割合 | 8% | 15% |
| その検索でブラウジングを終了した割合 | 26% | 16% |
| AIによる概要内の出典リンクをクリックした割合 | 1% | ― |
また、全検索のうちAIによる概要が表示されたのは18%で、質問形式の検索では60%、10語以上の長い検索では53%に上る一方、1〜2語の検索では8%にとどまりました。つまり、「〇〇とは」「〇〇の方法」といった情報収集型の検索ほど、AIによる概要の影響を強く受けるということです。
Ahrefs(2025年4月):1位のクリック率が34.5%低下
SEOツール大手のAhrefsは、AIによる概要が表示される15万キーワードと表示されない15万キーワードについて、2024年3月と2025年3月のSearch Consoleデータを比較しました。その結果、AIによる概要が表示されるキーワードでは、検索1位の平均クリック率が34.5%低いことが分かりました(出典:Ahrefs, 2025)。順位を維持していても、クリックが3分の1減る可能性があるという現実的な目安です。
Seer Interactive(2025年2月):引用されればクリック率は上がる
一方、米国のデジタルマーケティング会社Seer Interactiveが約1万件の情報収集型クエリを2024年1月〜2025年1月で追跡した調査では、AIによる概要が表示されるクエリのオーガニックCTRは1.41%から0.64%へ低下していましたが、自社がAIによる概要の中に引用されている場合は、オーガニックCTRが0.74%から1.02%へ上昇していました。リスティング広告のCTRも7.89%から11%に上がっています(出典:Seer Interactive, 2025)。
これらのデータから言えるのは、「AIによる概要は全体のクリックを減らすが、その中に引用される側になれば流入と信頼の両方を得られる」ということです。
Googleはクリックの「質」が上がったと説明している
Google自身は、AIによる概要の影響をどう説明しているでしょうか。Google Search Centralの公式ドキュメントには、「AIによる概要が表示された検索結果ページからのクリックは、より質が高い(ユーザーがサイトに長く滞在する傾向がある)」というGoogleの分析が記載されています(出典:Google Search Central, 2025)。
この主張を鵜呑みにする必要はありませんが、実務的には重要な示唆があります。AIで概要を把握したうえでクリックするユーザーは、「もっと詳しく知りたい」「この会社に相談したい」という具体的な動機を持っている可能性が高いということです。したがって、評価指標を「クリック数」から「問い合わせ数・資料請求数・来店予約数」へ移すことが、ゼロクリック時代の第一歩になります。
自社サイトの流入減がAIによる概要の影響かを切り分ける手順
流入減の原因は、AIによる概要だけとは限りません。コアアップデート、季節要因、競合の台頭なども考えられます。次の手順で切り分けてください。
- Search Consoleで「表示回数は維持・クリック率だけ低下」のクエリを探す:検索パフォーマンスレポートを過去16か月で表示し、クエリ別に比較します。順位と表示回数が変わらないのにCTRだけ下がっているクエリは、AIによる概要の影響が疑われます。
- 該当クエリを実際に検索し、AIによる概要の有無と引用元を記録する:自社が引用されているか、競合のどのページが引用されているかを確認します。
- クエリの種類で分類する:「〇〇とは」「〇〇 やり方」などの情報収集型と、「〇〇 料金」「地域名+業種」などの比較・来店型に分けます。Pew Research Centerの調査が示すとおり、影響は情報収集型に偏ります。
- 成果指標(CV)の推移と照合する:GA4で問い合わせ・電話タップ・予約などのコンバージョン数を同期間で確認します。クリックが減ってもCVが維持されていれば、Googleの「質の高いクリック」の説明と整合します。
- コアアップデートの時期と重ねる:Googleのランキング更新の公開日と流入変化の時期が一致する場合は、AIによる概要ではなく評価そのものの変化を疑います。
ゼロクリック時代のSEO対策:優先順位つきチェックリスト
優先度A:引用される側に回る
- 主要ページの冒頭と各見出し直後に、質問への「結論」を1〜2文で明示する。AIは質問に直接答えている箇所を抜き出して回答を作ります。
- 料金・所要期間・対応エリア・比較条件などを表や箇条書きで整理し、事実として抜き出しやすくする。
- 自社の事例・現場の知見・独自データなど、他サイトにない一次情報を各ページに入れる。Googleは2025年5月のブログで「ユニークで価値のあるコンテンツ」を第一に挙げています(出典:Google Search Central Blog, 2025)。
- 執筆者・監修者・会社情報を明記し、信頼性(E-E-A-T)を見える形にする。
優先度B:AIの影響を受けにくいクエリを厚くする
- 「地域名+サービス名」「社名+評判」「サービス名+料金」など、比較・来店・指名に近いキーワードのページを強化する。これらは「次に取る行動」が明確で、AIの要約だけでは完結しにくい検索です。
- Googleビジネスプロフィールを整備し、マップ(MEO)経由の来店・電話導線を確保する。
- 事例紹介・お客様の声・担当者紹介など、「この会社に頼むか」を判断するためのページを増やす。
優先度C:測定と技術の土台
- GA4で問い合わせ・電話・予約をコンバージョンとして計測し、月次でクリック数と並べて評価する。
- GA4の参照元レポートで「chatgpt.com」「perplexity.ai」などAIサービスからの流入を確認する。
- robots.txt・noindex・nosnippetなどで意図せずAI機能から除外していないか確認する。Googleは、nosnippet・data-nosnippet・max-snippetなどの既存のプレビュー制御がAIによる概要にも適用されると説明しています(出典:Google Search Central, 2025)。
- 構造化データは、ページに表示されている内容と一致する範囲で実装する。
やらないほうがよいこと
ゼロクリックへの不安から、逆効果になりやすい対応を選んでしまう例もあります。
- AIに読ませないためにnosnippetを全ページに設定する:AIによる概要からは除外されますが、通常の検索結果のスニペットも消え、クリック率がさらに下がる可能性があります。本当に守りたい有料コンテンツなどに限定してください。
- 「〇〇とは」記事を大量生産する:情報収集型の検索はAIによる概要の表示率が高く、クリックに結びつきにくい領域です。量より、自社の専門性が出せるテーマに絞るほうが効果的です。
- AI向けの特別なファイルやマークアップに頼る:Googleは2026年5月のガイドで、llms.txtの設置やコンテンツの細切れ化、AI専用のMarkdown版ページには特別な効果がないと明記しています(出典:Google Search Central, 2026)。
よくある質問
Q1. AIによる概要が出るキーワードは、もう狙う意味がないのでしょうか?
そうとは言えません。Seer Interactiveの2025年の調査では、AIによる概要に引用されたブランドはオーガニック・広告ともにクリック率が上がっていました(出典:Seer Interactive, 2025)。クリックの総量は減っても、引用される側になれば「AIが参照した信頼できる会社」として指名検索や問い合わせにつながります。狙うかどうかは、そのキーワードが成果(CV)に結びついているかで判断してください。
Q2. 自社がAIによる概要に引用されているかを確認する方法はありますか?
Google Search Consoleでは、2026年10月時点でAIによる概要からのクリックが「ウェブ」の検索タイプに含まれており、個別に分けて集計することはできません。確実な方法は、主要なクエリを定期的に実際に検索して記録することです。順位計測ツールの中にはAIによる概要の表示と引用元を追跡できるものもあるため、対象キーワードが多い場合は導入を検討してください。
Q3. 広告(リスティング)への影響はありますか?
Seer Interactiveの調査では、AIによる概要の有無にかかわらず広告のCTRは全体として低下傾向にありましたが、自社がAIによる概要に引用されている場合は広告CTRが7.89%から11%に上昇していました(出典:Seer Interactive, 2025)。オーガニックでの信頼性の積み上げが、広告の効率にも波及する可能性があります。
参考資料・出典
- Google users are less likely to click on links when an AI summary appears in the results(Pew Research Center, 2025)
- AI Overviews Reduce Clicks by 34.5%(Ahrefs, 2025)
- Google AI Overview Study – SEO & PPC CTR impact(Seer Interactive, 2025)
- AI features and your website(Google Search Central, 2025)
- Top ways to ensure your content performs well in Google’s AI experiences on Search(Google Search Central Blog, 2025)
- Google’s guide to optimizing for generative AI features on Google Search(Google Search Central, 2026)
- AI Mode in Google Search expands to more languages(Google, 2025)
- Google、ウェブ検索の「AIによる概要」(AI Overviews)を日本などでも提供(INTERNET Watch, 2024)
まとめ
AIによる概要が表示される検索では、従来の検索結果のクリック率はPew Research Centerの調査で15%から8%へ、Ahrefsの調査では1位のCTRが34.5%低下しており、ゼロクリックの増加は数字として確認できる現実です。しかし、AIによる概要に引用された企業はクリック率が上がるというデータもあり、評価の軸を「クリック数」から「引用される信頼性」と「問い合わせなどの成果」へ移すことで、むしろ競合と差をつける機会になります。まずはSearch Consoleで影響を受けているクエリを切り分け、結論を明示したコンテンツと一次情報、信頼性の明示から着手してください。
神戸・大阪・東京から全国のWeb集客を支援する株式会社グッドラフでは、無料のサイト診断を行っています。お問い合わせからお気軽にご相談ください。流入データの切り分けから改善の優先順位づけまで、SEO対策サービスおよびWebコンサルティングで伴走いたします。

